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親の介護が急に始まると、「まず何を用意すればいいの?」と戸惑いますよね。
道具を少し変えるだけで、毎日の負担がぐっと軽くなることがあります。この記事では、介護歴20年の現役施設長が、在宅介護で役立つ便利グッズを場面別にまとめました。
高価なものを一気に揃える必要はありません。あなたのご家庭で困っている場面から、一つずつで大丈夫です。
在宅介護グッズを選ぶ前に、知っておきたい3つのこと
買ってから「合わなかった」を防ぐために、先に3つだけお伝えします。
- 困っている場面から選ぶ…食事なのか、排泄なのか、見守りなのか。全部を最初から揃えなくて大丈夫です。
- 高額なものは介護保険が使えることが多い…介護ベッドや車いす、手すりなどは、買う前にケアマネジャーへ相談を(詳しくは後半で)。
- 本人が使いやすいかを優先する…機能が多くても、本人が扱えなければ続きません。シンプルさも大切です。
【場面別】在宅介護の便利グッズ
困りやすい場面ごとに、選ぶポイントとあわせて紹介します。
食事のとき
飲み込みや手の動きが弱くなると、食事の時間が負担になりがちです。
- すくいやすい介護用食器・スプーン…ふちが返った皿や、握りやすい柄のスプーンで、こぼれを減らせます。
- 食事用エプロン(防水・ポケット付き)…洗い替えに数枚あると洗濯が楽になります。
- とろみ調整剤・介護食(やわらか食・ムース食)…飲み込みが心配なときに。むせが続く場合は、まず医師や言語聴覚士に相談を。
例えば、首の部分を手で曲げて、口に運びやすい角度に調整できる介護用スプーンの一例です。
排泄のとき
介護のなかでも負担が大きい場面です。道具で「におい」と「手間」を減らせます。
- 大人用紙パンツ・パッド…体型と尿量に合うサイズが重要。まず少量パックで試すと失敗しにくいです。
- 防水シーツ・使い捨て処理用品…夜間の安心と、後片付けの時短に。
- 消臭スプレー・密閉できるゴミ箱…においのストレスを大きく減らせます。
紙パンツは、薄くて通気性のよいタイプから試すと、本人の抵抗感が少ないことが多いです。
※ポータブルトイレ(腰掛便座)は介護保険の対象になることがあります。買う前に後半の制度説明をご確認ください。
入浴・清潔のとき
転倒が起きやすい場所です。安全第一で選びます。
- 滑り止めマット・浴室内の吸盤バー…ちょっとした支えが安心につながります。
- 体を洗いやすいロングブラシ・泡ボディソープ…本人が自分でできる部分を残せます。
- ドライシャンプー・清拭タオル…入浴が難しい日の清潔ケアに便利です。
浴室の床に敷くすべり止めマットは、介護用品メーカーの製品を選ぶと安心です。
※シャワーチェアや入浴台などの入浴補助用具も介護保険の対象です(後半参照)。
睡眠・床ずれ予防
寝ている時間が長い方は、同じ姿勢による床ずれ(褥瘡)に注意します。
- 体位変換クッション・体圧分散クッション…姿勢を変える負担を減らせます。
- すべりにくい寝間着・かかとカバー…小さな摩擦対策が効きます。
体の下に差し込んで姿勢を保つ、三角タイプのクッションが使いやすいです。
見守り・安全のとき(離れて暮らす家族にも)
「一人にする時間が心配」を、道具で補えます。
- 見守りカメラ…スマホから様子を確認でき、双方向で話せるタイプもあります。夜間の見守りや、日中一人になる時間の不安をやわらげます。
- GPS・見守りタグ…認知症で外出が心配な場合の備えに。靴や持ち物に付けられる小型のものが便利です。
- 人感センサー・自動点灯ライト…夜間のトイレ移動の転倒予防に。
スマホから映像を見られて、会話もできる見守りカメラの一例です。
移動・立ち座りのとき
- 立ち上がり補助の手すり(据え置き型)・ベッド用手すり
- 軽量な歩行器・歩行車
これらは介護保険でレンタルできることが多いため、購入前にケアマネジャーへ相談するのがおすすめです。
介護保険が使えるものは「買う前にケアマネへ」

便利グッズのなかには、介護保険を使うと安く手に入る(またはレンタルできる)ものがあります。ネットで全額購入する前に、一度確認してください。
介護保険で「購入」の補助が受けられる主な福祉用具(特定福祉用具販売)
- 腰掛便座(ポータブルトイレなど)
- 入浴補助用具(シャワーチェア、浴槽内いすなど)
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具部分 など
購入費の補助の仕組み(2026年9月時点)
- 補助の上限は1年間(4月〜翌3月)で10万円まで
- 自己負担は1〜3割(所得により異なります)
- いったん全額を支払い、あとで申請して7〜9割が払い戻される方式が一般的です
介護ベッド・車いす・手すり・歩行器などは「レンタル」が基本で、こちらも介護保険が使えます。ただし、介護ベッドや車いすなど一部の用具は、要支援1・2と要介護1の方は原則としてレンタルの対象外です(状態によっては例外的に認められる場合があります)。なお2024年4月からは、固定用スロープ・歩行器(車輪のない固定式など)・一部の歩行補助つえ(多点杖など)について、レンタルと購入を選べるようになりました。
どれが対象になるかは、要介護度や状況で変わります。まずは担当のケアマネジャーに相談すると、無駄な出費を防げます。
グッズだけでは限界なとき:人の手を借りる選択肢
便利グッズで楽になる場面は多いです。でも、夜間の付き添い・通院・長時間の見守りなど、道具では代わりがきかない場面もあります。
そんなときは、まず介護保険のサービスを見直すのが基本です。
- 訪問介護(ホームヘルパー)…食事・排泄・入浴などの介助
- デイサービス…日中に通って過ごす場。家族が休める時間にもなります
- ショートステイ…数日〜泊まりで預けられるサービス
どれも担当のケアマネジャーに相談すると、今の状態に合う組み合わせを考えてもらえます。
介護保険だけでは足りない部分は「保険外サービス」で
介護保険には、使える時間や内容に決まりがあります。たとえば「病院での長時間の付き添い」「夜間ずっと見守ってほしい」といった希望は、保険の範囲に収まらないことが多いです。
介護保険でヘルパーに頼めること・頼めないことは、介護保険でできないこと一覧|ヘルパーに頼めない家事と困ったときの補い方で詳しくまとめています。
こうした部分を補えるのが、全額自己負担の保険外(自費)の訪問介護です。費用はかかりますが、時間や内容を家族の希望に合わせやすいのが特徴です。
- 介護保険サービスと併用できる
- 通院の付き添い・夜間の見守り・長時間の介護などに対応
たとえば「イチロウ」は、24時間365日対応の保険外訪問介護サービスです。料金は日中1時間3,400円(税抜)から、2時間以上の利用が目安です(2026年9月時点・公式サイトより)。
※対応エリアは首都圏・東海・関西の一部に限られます。お住まいの地域が対象かどうかは、公式サイトでご確認ください。
「毎日ではなく、自分が休みたい日だけ」という使い方もできます。一人で抱え込まず、人の手を借りることも立派な介護です。
施設長の本音
現場で20年見てきて感じるのは、道具は「本人のできること」を守るための味方だということです。
すべてを家族がやってあげるより、本人が自分でできる部分が少しでも残るほうが、ご本人の表情が明るいことが多いです。便利グッズは、その「できる」を支える道具でもあります。
そしてもう一つ。便利グッズは万能ではありません。
在宅での介護には限界がくる時期もあります。それは家族の努力が足りないからではなく、状態が変われば当然のことです。「もう限界かも」と感じたら、それはSOSではなく、次の選択肢を考えるサインです。一人で抱え込まないでください。
まとめ
- 在宅介護の便利グッズは、困っている場面から一つずつそろえれば十分
- 食事・排泄・入浴・見守りは、道具で負担を大きく減らせる
- 介護ベッド・手すり・ポータブルトイレなどは介護保険が使えることが多い。買う前にケアマネへ
- 夜間・通院など道具で補えない部分は、介護保険サービス+保険外の訪問介護で人の手を借りる
- 道具は「本人のできること」を守る味方。できる範囲で、無理なく
在宅の負担が大きくなってきたと感じたら、施設という選択肢を知っておくだけでも気持ちが楽になります。責める必要はまったくありません。
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よくある質問
Q. 便利グッズは、まず何から買えばいいですか?
A. いちばん困っている場面から選ぶのがおすすめです。夜が不安なら見守りカメラ、食事が大変なら介護用食器、というように一つずつで大丈夫です。
Q. 介護保険で買えるものと、自分で買うものの違いは?
A. 介護ベッド・車いす・手すりなどはレンタル、ポータブルトイレや入浴補助用具などは購入補助の対象になることが多いです。紙おむつや見守りカメラ、食器類などは保険外で、通販で購入するのが一般的です。判断に迷ったらケアマネジャーへ。
Q. 介護保険のヘルパーと、保険外の訪問介護は何が違いますか?
A. 介護保険のヘルパーは1〜3割負担で使えますが、できる内容や時間に決まりがあります。保険外の訪問介護は全額自己負担ですが、長時間の付き添いや夜間の見守りなど、希望に合わせやすいのが特徴です。両方を組み合わせて使うこともできます。
Q. 見守りカメラは、離れて暮らす親にも使えますか?
A. 使えます。スマホから映像を確認でき、会話できるタイプもあります。導入前に、ご本人へ「安心のために置くね」と一声かけておくと受け入れられやすいです。
まず試すなら
気になったグッズは、レビュー件数が多く評価の安定したものから見てみると、失敗が少なくなります。紙おむつや介護食など体に合う・合わないがあるものは、まず少量パックで試すのがおすすめです。
夜間や通院など、家族だけでは手が回らない部分は、保険外の訪問介護で補う方法もあります。まずは無料で問い合わせて、料金や対応エリアを確かめておくと安心です。
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そして、在宅介護が大変になってきたときは、施設を「知っておく」だけでも心の余裕につながります。まずは情報を集めることから、できる範囲で始めてみてください。


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